会長の一言1番
いつもお世話になっています。武林です。

前回の与太呂会のとき、大将から「何か文章を」と言われていたので、
書いてみたのですが、こんなものでいいのでしょうか。
文字数も、内容についても、何も制限が無かったので、少々不安な文章ですが。

もし、これでOKならば、後で大将とママの顔絵と私の自画像とを描いて、
次の機会にでも手渡しできれば、と思っています。
(今うちのスキャナーが不調で、絵の取り込みができないものですから)

以下は本文です。

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「一酔客の戯言」



先日、仕事で通ってもらってるアシスタント(30歳男)から、こんなことを聞かれました。
「今度、田舎の親父の誕生日に酒を持って行こうと思ってるんですが、
おすすめの日本酒は何か無いですかねぇ?」私はちょっと考えたあとで、
「お前が美味いと思ってるものなら、種類や値段を問わず、何でもいいんじゃね〜かな」
としか答えられませんでした。
彼よりも若干酒好きで、若干長く呑んできた私としては、何か気のきいた
おすすめ酒でも2〜3教えてあげられれば良かったんですが。
彼のお父さんの好みも何も知りませんし、彼の好みも予算もわからなかったからでした。

酒飲みならば誰でも美味しく値段も相応と考える酒なんてものは無いんだと思います。
軽やかで繊細な味を美味いと思ってる人もいるだろうし、逆にそれを
物足りないと思ってる人もいるでしょう。
人それぞれの基本的な好みだけでなく、呑む時・人・場所・雰囲気・肴に
よっても、また「何が美味く感じる」かは変わってくると思いますし。
それにも増して大きいのが、呑む時の体調や気分によって、好きなはずの
銘柄が不味く感じたりもすることでしょう。

また、とりわけ日本酒というものは、人の手によって造られてるだけあって、
季節や天候、醸し人達の具合によって、様々変化もすると思います。
(まぁ、だからこそ面白いのですが)
とても好きだった銘柄が、しばらくぶりにクチにすると非常に残念な味に
なっていたり。
食わず嫌い(呑まず嫌い?)だった銘柄が、何かの機会に味わってみたら、
「あれ?悪くない」「いや、けっこうイイかも」・・・なんてことは、ままあることだと思います。

私が与太呂を知って、お店に顔を出すようになってから、もう何年か経ちますが。
始めのうちはこれらのことを、いまひとつ理解できていませんでした。
・・・というより、前々からの常連の方々が、味の評価をいろいろ交わすのを
聞いて、それがよくわからない自分を少し恥じてたりしていました。
それが少しずつ変わってきたんですが。きっかけは酒の肴でした。
私は元来が食いしん坊な人間ですから、酒の肴は重要で欠かせません。
とりわけ与太呂に伺う時なんぞは、「ご馳走を楽しむぞ!」という目的も
とっても大きいので、「今日は何を食わせてもらえるのかな?何が旬なの
かな?」という期待感でいっぱいだったわけです。

たまの贅沢で店に行くわけですから、大将もママさんもとびきりの酒肴を
用意してくれているんですが。
日本酒に関して知識の無い私は、酒の銘柄の注文は出来ません。ただ単に
「お酒のおかわりちょうだい」
としか言えないんですが、グラスごとに違えて出てくる酒が、これまた美味い連続です。
もちろん肴に合う酒を選んでくれてるからで、私の好きな食いものに合う酒
ですから、その酒を好きに感じることが多くなります。
酒のおかげで肴も美味い、肴のおかげで酒も美味い。
さらには大将やママさんと面と向かっての話で、こちらの好みや体調なども
はかってくれているからでしょう、何杯重ねても美味さと驚きとを味わうことができます。

こんなことを繰り返していくうちに、私はだんだんと「自分が何を好きなのか」
「どんな感じのものを美味いと感じるのか」ということだけ、うすぼんやりと
ですが、わかってきたように感じます。
それと同時に、よく一緒に呑む仲間の好みもそれとなくわかってきましたし、
私の好みをわかってくれる友達もいます。
(たまに期待をハズしたりもしますが、それもまたご愛嬌です)

こんなふうになってきてようやく、「酒をあまり知らない」という引け目が、あまり
感じなくなってきましたし、毎回毎回を期待して、楽しんで、満足して帰るという
ことが出来るようになりました。
と同時に、日本酒の魅力にハマってきてしまったんだと思います。
実は未だに日本酒の知識はあまりありません。仲間うちからも
「あんたは自分で飲んだ酒も覚えてない」などとよく言われますし。
ただ、自分の好きな酒、今呑みたい酒だけは、日本中の誰より熟知しているんです。(笑)

酒を呑むからには、より美味いものを呑みたい。(懐具合の許す限りにおいて)
そのために与太呂というお店は、そして与太呂会は、とても具合の良い場所だと思います。

私のような者でも、自分の好きなものが見えてくるわけですから。
そしていつ新たな発見があるかもしれませんから。
皆様においても、お気に入りの美味い酒と肴とが、ちょくちょく見つかりますよう。

蛇足として付け加えるならば、呑み客としてたったひとつ「そこそこの健康」だけ
準備して行かれることを、おすすめいたします。


与太呂会(一応)会長 武林武士





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